農園だよりDiary

2016年11

2016.11.14
 皆さん今日は。

 先月8日には阿蘇山が爆発的噴火をして大量の火山灰や噴石が降りました。風向きの関係で我が家では薄っすら火山灰が降った程度でしたが、場所によっては灰色一色になるほど降ったところも有ります。トマトハウスやイチゴの苗に被害が出た所も有りますが、我が家では被害は有りませんでした。噴火の翌日には雨が降り、電柱に降り積もった火山灰が電気の絶縁部分に入りショートして一晩中停電でした。4月の地震を思い起こす真っ暗なそして不安な夜でした。

 地震や巨大台風にさいなまれた今年、夏は猛暑でしたが秋の訪れも遅く、阿蘇の我が家では初霜が昨日(11/5)、例年より2週間遅く降りました。我が家では例年11月末までトマトの収穫をします。秋のトマトは低温でゆっくりと肥大して色づきますので実が締まって美味しいトマトが出来ます。ところが今年は9月、10月の気温が高く、本来なら11月に大玉になって収穫するはずのものが前倒し、小玉でじゃんじゃん熟れてしまいましたので10月末で収穫が終わってしまいました。どこの産地も同じ状況のようですが、トマトだけではなく他の野菜も品薄で店頭では高値のようですね。

 そんな中、我が家の冬作物のイチゴがやっと色づき始めました。イチゴも気温が高すぎると実が大きくなる前に赤く色づいてしまうので、夜間もハウスを大きく開放して温度管理に気を配りながら育ててきました。前作は地震の影響により4月で出荷が打ち切られ、とても残念でした。今作はこれからクリスマス、正月に向けて心機一転皆さんに喜んで頂けるイチゴが出来るよう管理に努めてまいります。

 熊本地震では農地が大きな被害を受け、稲の作付が出来ない田んぼが沢山有りました。作付が出来た田んぼは一見何事もなく無傷の様でしたが、秋の収穫になって異変が目に見えてきました。今年の秋は雨が多くて稲刈りが大幅に遅れました。例年なら天候が回復すると直ぐにコンバインが入っても問題ないのですが、今年は田んぼが柔らかく、構造的に湿田でも走行できるはずのキャタピラがぬかるんで苦労しました。

 もっと大変なのが飼料用稲を藁ごと刈り取ってロールにする農家の田んぼです。大型トラクターが走り回るので、ぬかるんだ田んぼでは作業が中断して(写真上)放置されたままになっています。作業が出来た田んぼでもタイヤの跡が残り(写真中)いつも水が溜まっています。例年なら稲刈りが終わると畜産農家が残らず集めて梱包してしまう藁も、今年は雨と、晴れても田んぼがぬかるんだせいで放置されたままです。(写真下)これは田んぼの異変です。あれだけの大きな揺れだったので土地の内部でも大きなダメージが有ったのでしょう。我が家の田んぼだけでも液状化現象が何か所も有ったのですから。回復には何年か掛かるかも知れませんが、来年は今年よりも改善していることでしょう。

 農地や施設が災害を被るとがっかりします。しかしそれを復旧してまた何事も無かったように粛々と生産を続け農産物を皆様に届けるのが農家の仕事です。皆様の応援が一番の励みになります。
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