農園だよりDiary

2020年12

2020.12.08
 皆さんこんにちは。
 年の暮れも近まり、阿蘇はすっかり冬の装いになりました。しかし気温が高いのでしょうか。例年ならこの時期頻繁に見られる雲海が今年はやっと6日に見られました。雲海は星が綺麗に見えて底冷えのする夜間、放射冷却により地面が冷やされ、それによって冷やされた冷たい空気が早朝には阿蘇の盆地の低い所に溜まり、冷たい空気のプールが出来ます。そのプールの中には川や田んぼが有り、そこから発生した水蒸気が溜まり濃い霧が出来ます。それを阿蘇の外輪山から見ると雲が波打って、正に海の様な光景が見られます。ところが今年は気温が下がらないとか、風が吹いて冷たい空気のプールが出来ないとか条件が揃わなくて、なかなか雲海が見られませんでした。やっと12月になり天候も安定し雲海が見られるようになりましたが、これも微妙な条件が揃わないと発生しないので雲海の発生予報は難しいようです。

 自然界はいろんな要素の微妙なバランスで成り立っています。先日、熊本の地方紙に熊本市が管理する「立田山憩いの森」のシイの大木が、キクイムシの一種が媒介する病原菌に感染して約200本が枯れていると言う記事が掲載されました。「被害は全国に広がっている。原因は不明だが今年の長雨や猛暑などが影響した可能性がある」と結んでありました。それから数日後の記事に、「このキクイムシによる被害が見られるようになったのは生活様式が変わり、薪を山から切り出さなくなり、大木が増えた時期と重なる」と書かれていました。このキクイムシは若くて元気な木は荒らさない。老木だけを枯らして森を若返らせていたと言うのです。結びには、多様な命が支え合う生態系の中で「ない方が良いものなど何一つない」とありました。

 コロナの時代になり生活様式が激変しました。マスク着用。人ごみは避ける。飲み会は気を付けて。2次会に行かずにさっさと帰る。海外旅行はダメ。これまでの時代が何と自由だったことか。これからの時代が何と窮屈な事か。しかし、この暮らしもやがて一年、マスクにも慣れたし、農家にとって人ごみはあまり慣れないし、飲み会は大好きだけど2次会に行かない事にもカラオケを歌わない事にも慣れたし、人間とは単純な生き物です。最近は飲み会が少なくなり、深酒もなくなり翌朝、体調不良な事がなくなりました。今振り返ると何と無駄な事の多かったことか。コロナが生活を見直す一つのきっかけになりました。キクイムシは生命力の低下した大木を狙います。コロナも健康な人、気を付けた生活を心がけている人は罹りにくいと聞きますので新しい時代の生活様式の実践を心掛けていきたいと思っています。

野鳥と仲良し

 初冬のこの時期、稲刈りで切り落とした稲わらを田んぼに鋤き込む作業が今年最後の仕事です。周りの農家はエアコン完備キャビン付トラクターで作業しますが、我が家では無駄な燃料を使わないキャビンなしトラクター、厚着、重ね着です。鋤き込んだ稲わらは土の中で分解され来年植え付けられた稲の肥料になります。作業していると野鳥が沢山遊びに来ます。カラス、サギ、名前の分からない小鳥。耕した土の中にいる虫やミミズ、蛙等が目当てです。サギは特に近くまでやって来ます。トラクターから3m位まで近づき同じ速さで歩いて餌を探しています。警戒していないのかと思いトラクターを止めるとさっと距離を取りスクッと立ち止まり、まるで作り物のように佇みます。トラクターが動くと作り物から生き物にまた変身し、ついてきます。見飽きません。
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