農園だよりDiary

2021年10

2021.10.03
10月になり、空気が乾燥して日中の日差しは強いのですが真夏とは違った心地よい暑さがあります。阿蘇ではここ数日、朝晩気温が下がり寝具も厚くしなければならなくなりました。天気の良い夜、放射冷却により地表の温度が奪われ気温の逆転現象によって起きる雲海も見られるようになり、9月26日早朝、ちょっと山まで軽トラックでひと登り、カメラに収めてきました。家を出るときは霧に包まれ雲海を確信して走りましたが途中から霧が晴れ、空振りかなと思いつつ登りました。展望所に着くと阿蘇谷全体ではありませんでしたが雲海に包まれ、これはこれで見ごたえのある眺めでした。これからが雲海のシーズン。写真に収め会報で紹介していますが現物は本当に素晴らしいのです。コロナの非常事態も一応の区切りを迎えたようですので皆様、阿蘇に雲海観光にお越しになったらいかがでしょうか。

今年の米つくり

 今年も収穫の秋を迎える事が出来ました。今年の米つくりは本当に色んなことがあり、大変な一年でした。

 私、春から足が痛くなり、治療により回復はしたもののこれから先、除草剤を使わない有機栽培を続けていくことに一抹の不安が起きました。田植えまでは順調に進みましたが田植えの翌日から予想外の早期の梅雨入り。苗はまだ根付いていないのに連日の大雨大風。例年田植え後の好天の中、雑草の発生を抑える為に水位を深くしていますが今年は予想外の悪天候です。田んぼの水は強風で吹き寄せられ風下の畔に当たり泥水になっています。水位を下げると雑草が芽吹いてきます。水位を保つか下げるか悩みましたが自分の体の事も考え保つことにしました。強風は数日おきに波状的に吹きました。第二波までは葉がピンと立っていましたが最も強く永かった第三波で日陰育ちの苗は泥水にのまれ無残なことに。我が家の田んぼの4割。一枚の面積が広い主力の田んぼが特に被害甚大でした。このままでは鴨は放せないので水を抜いて土を乾かし新しい葉が伸びるのを待つこと2週間。苗は回復しましたが雑草も芽吹いて大変な事になりました。おまけに土を乾かしたので固く締まって合鴨はただ歩くだけで雑草はびくともせず、頼みの除草機の爪も刃がたちません。人間の爪はもっと刃がたたないので除草機で4回5回。その後除草機で取れなかった草を人手で数回。毎日毎日、晴れの日はもとより雨の日も風の日も雷の日は背を丸めて、連日朝から暗くなるまで田んぼの中でした。いつもなら稲の育ち具合を見て楽しんで仕事が出来るのに今年は後悔とため息ばかり。田んぼに行くのも苦痛でした。田植え後のつまずきは大きく、茎の数はいつもの半分くらいです。その後も真夏の実が充実する時期、収穫期直前の長雨。後悔と今年は米が足りるだろうかという不安で夜中に目が覚める事も度々でした。天候も回復し稲刈り開始。被害が大きかった田んぼは、やはりモミが少なかったのに対して被害が少なかった田んぼはそこそこの量が有りました。籾摺りをすると悪天候続きで悪いだろうと思っていた実の充実が予想外によく、くず米が少なく思っていたほどの減収ではありませんでした。また他の生産者の収量も良く、皆様にお届けする量は十分に確保できました。あらためてですが今年の田植え後のつまずき、悪天候、最悪の中でも復活し実を結び充実させる稲の生命力に驚かされました。今年は私の百姓人生で特筆する年でした。例年の倍近くの田の草取りをしましたが、まだまだ体力充分なのも分かりました。機械と体は使わないと錆びる。来年はもう少し面積を広くしても良いかなと思っています。
PAGE TOP