農園だよりDiary

2023年7

2023.07.03
 皆さん今日は。

 今年の梅雨は雨が少ないなと思っていましたが先月末から本格的に降りました。我が家の近くでも河川の水かさが増して設定水量に達し、11年前の九州北部豪雨後に作られた遊水池では危険を知らせるサイレンが鳴り響き、水が流入する寸前までになりました。ところが昨日は一転して晴れの真夏の青空。今日は線状降水帯により遊水池に流入する大雨。降ると雨や嫌だけど晴れると田んぼの水が足りなくなり、どちらも困ったものです。
 最近報道では食品値上げのニュースで持ちきりです。身の回りを見ると殆どの物が海外からの輸入品ですね。国産は水と米と大半の野菜、牛乳。あとは輸入品の割合が大きいようです。米と野菜の肥料、乳牛の飼料も輸入品ですから純粋な国産品は水くらいでしょう。世界情勢に翻弄される食生活の中で円安、戦争も困ったものです。
 弊社では昨年産米は、皆様にお願い致しまして代金値上げを行いましたが本年産米は肥料が国産であることや皆様にご協力頂きました集約発送によりまして何とか現状価格でお送りすることが出来るようです。8月に注文取りまとめを行いますので宜しくお願い致します。

 弊社では以前から除草剤を使わない有機の米つくりを行っていましたが人力による草取りには限度がありました。平成3年から合鴨を田んぼに放し広い面積で有機米が栽培できるようになり劇的な変化でした。しかし田んぼの周りに網を張る必要があります。我が家では現在5haの田んぼで2.5㍍おきに支柱を立て、4千㍍の網を張っているのですが、これが大変な作業なのです。合鴨の成長と稲の成長を見てタイミングを見計らってヒナを放すときにはもうヒエが沢山発芽している状況もあります。弊社メンバー、下村、梅井、私みんな気持ちは若いつもりなのですが74,71,66になりました。皆様からご支持を頂きまして、これからも有機米を作り続けていきたいと思っていますが現状の維持は何年も出来ないでしょう。数年前から高性能の乗用除草機が開発され、全国の有機栽培農家で利用が進んでいて、全国の農家が集まる情報交換会で話は聞いていましたので、昨年冬からメンバーで検討を重ね、非常に高価でしたが今年購入を決めました。初めて使う機械なので思ったほどの性能ではなかったときに人力での除草は出来ないのでそれぞれ機械で除草して、合鴨を入れる田んぼと入れない田んぼを作り、比較することにしました。田植え2週間後に機械除草した後に合鴨を入れた田んぼは、ちょうど雑草が発芽したころに除草機により倒され、そのすぐ後に合鴨が放され、土をかき回すので雑草が芽を出す暇を与えず完璧な状態です。田植え後2週間、その2週間後2回、機械除草した田んぼもその都度土がかき回され、やっと芽が出るころには稲が成長して日光が当たらなくなり雑草が成長出来ない状態です。稲の生育も今やっと4合目。まだまだ先は長く、収穫までにヒエ取りなどありますが今の状況では殆ど芽を出す前に倒されているようなので雑草との戦いでは9合目になるようです。秋になり収穫すると除草機効果の結果が分かりますので楽しみです。
 30年前の人力による除草、これまでの合鴨による除草、そしてこれからの乗用除草機による除草。形は変わりますが有機米の本質は変わりません。結果が良ければ来年から大変な網張をしなくて良くなるかも知れません。

 日本ではこれから人口減少とそれに伴い労働力不足が問題になるのだそうです。そのことは私の身の回りを見れば理解できます。我が家の息子夫婦はトマトとイチゴ栽培に力を入れています。全国的に後継者不足で産地が縮小しているせいで、やりがいはあるようです。その点、有機米生産は重労働、田んぼの中で腰を曲げての草取り、若い人は敬遠します。新規に始めようという人はいません。これからも生産を続け、皆様に変らずお届けするには仕組みを変えなければなりません。これまで30年に亘り継続できましたのも皆様からのご支援のお陰です。これからも皆様のご期待に添えますよう努力と進歩を重ねていきます。
PAGE TOP