農園だよりDiary

2023年11

2023.11.08
 皆さん、今日は。

 阿蘇では毎日季節外れの暖かさと晴天が続いています。機械化が進んでいなかった昔は、まだ脱穀機で稲わらから籾を分ける作業の真最中だった事でしょう。そして屋外に藁(わら)で編んだ筵(むしろ)を広げ脱穀した籾(もみ)を広げて毎日天日干しの作業です。日本の気候と昔の稲作作業の進捗は実によくマッチしていたようです。霜が降りて田んぼに霜柱が立ち外の作業が出来なくなるころ籾摺り業者が機械を各家に運んで、近所どうし「結い」「手間貸し」により助け合い、多人数で籾摺りをしていました。現在、米袋は紙製になりましたが私の子供の頃は「俵」でした。米が漏れないように俵1個仕上げるのに幾つもの工程があるようで次から次に機械から出てくる米に対応するには沢山の人手を必要としました。作業が終わるともちろん慰労会。農家にとっては1年間の作業の結び。収穫の喜びの日です。機械も無かった時代、皆で助け合わなければ仕事が出来なかったことで地域の和が大切にされていたのでしょう。時代は進み、味の良い早生品種のコシヒカリになり、早霜により稲に害が起きないように昔から行われている「霜神社」の「火焚き神事」の満願の前には稲の収穫、籾摺りも終ります。私の集落14戸、全戸籾摺りまでする稲作農家だったのですが、現在は作業委託が進み籾摺りまでする農家は3戸になりました。すべての作業が機械化され、近所同士の助け合いも不必要になりましたが、和がなくなってしまっては田舎暮らしも楽しくないので事あるごとに近所同士会って話すようにしています。

 コロナ以前は集落の行事で集まるたびに飲み会が行われていたのですがコロナにより行事も取りやめ、野外で集まっての作業後もそのまま解散という具合で、まったく味気ないこの3年でした。やっとコロナから解放され、マスクなしの生活が戻り、集落での飲み会も解禁にと思っていたら高齢の人はドクターストップでアルコール禁止との事。僅か3年だけど大きな3年でした。しかし他人ごとではなく私も高齢者の仲間になりました。いつまでもアルコールを嗜めるよう日頃の健康管理には気を付けています。お米の収穫が終わると大量の汗をかく事もなくなり体重が増加。お腹が出てはかっこ悪いので毎朝ウォーキングに努めています。阿蘇の田園を流れる白川支流の黒川はこの季節早朝の冷たい空気の中、川霧が発生し雲海になります。山の上から見ると綺麗な雲海ですがその中を歩いている者にとっては濃い霧です。その中を一人黙々と大股早足で1時間ほど歩くと体が温まり太腿は心地よい疲れ。運動したなという実感が持てる時間です。その後朝食。いつも通りの5分搗きご飯と具沢山味噌汁、納豆、ラディシュの甘酢漬け、我が家の有機JASトマト、牛乳。トマトは夏野菜で体を冷やす効果があるのですが、気温が下がり色着くまでの日数が長くなり甘くて美味しいので夏からの流れで毎日沢山食べています。ラディシュは忙しくて収穫が遅れて大きくなりすぎたので大きいのは半分に切って漬けました。毎朝の酢の物は健康に良さそうな気がします。健康に良い有機農産物の生産者が不健康だったらシャレにもなりません。「うちで育てた物を食べるとこんなに元気ですよ」と言う広告塔役の私の健康維持法です。

 7月号で紹介しましたが昔、除草剤を使わずに人手で草取りの米つくりは小面積しか出来ませんでしたが、合鴨を入れる事で広い面積で有機の米つくりが出来るようになりました。しかし弊社生産者も高齢になり、すべての田んぼを完璧に囲う網張、鴨の世話、田んぼに入っての草取り、これまでの合鴨農法の米つくりは困難になりました。今年、乗用除草機を購入しいろんな試しを行い、来年は除草機で十分いける事が分かりましたが除草剤を使わない基本は変わりません。全国の皆様から好評を頂いている弊社の有機米作りを次の世代に繫ぐためにも技術革新を行っていきます。全国的に食料生産が出来る農業者が減少している中でも数少ない有機農業生産者の私達です。まずは生産者の健康と気力が第一。応援宜しくお願いします。 
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