皆さん今日は。
桜前線北上により、暗かった冬の季節から華やかな春の季節に模様替えです。阿蘇では今、桜が見ごろです。最近は桜の開花が年々早まり、3月末には満開になっていましたが、今年は今が見ごろです。今年の春は天候が悪く、気温が低い日が続いて、3月18日には朝から降り出した雪が積もり、翌日には積雪20cm程の銀世界になりました。その後も気温が上がらず、桜もゆっくりと咲き始め花冷えで永く楽しめるのではないでしょうか。
田んぼの仕事もそろそろ忙しくなってきました。天気が続き、田んぼが乾いたら稲が育つための栄養源になる肥料を施そうと思っています。有機JAS栽培の肥料は天然由来が基本です。弊社では南九州で盛んな焼酎製造で出た絞り粕と、これも盛んな養鶏産業から出る鶏糞を合わせて醗酵させた肥料を使います。焼酎製造過程で活躍する酵母が働いて、鶏糞を植物が吸収できる形に分解し美味しいお米の源です。しかし化学肥料は成分が凝縮されていて少量で良いのですが、天然由来の肥料は成分が低いので沢山の量が必要です。効率化の時代には向きませんがウクライナや中国製ではない、九州島のしかも言わば産業廃棄物を活用する製品なので国際情勢に左右されることなく調達でき環境配慮型なので安心です。
これから4月10日に籾種の準備を行いますが、その前に現在国内では籾種子に放射線を照射させた種子が開発されました。国内では土壌のカドミューム含有数値が高い農地があるのでカドミューム吸収を少なくするための開発なのです。日本人は2000年の歴史の中でお米を食べてきてそれ程目立った健康被害はないと思うのですが、やはり海外輸出の為に相手国から敬遠されない為の対策でしょう。熊本県では県が種子の基になる原種の種を管理し、その種を採種農家が栽培して一般農家が使う種もみを生産しています。熊本県では交配による品種改良で作られた種もみで、我が家も含めて生産が行われています。また有機JAS法では種もみは自家採種が基本なのですが、何年にも渡り自家採種を続けると風に乗って飛んできた他の品種の花粉と交雑してDNA的にコシヒカリで無いお米になってしまいます。それを防ぐために毎年必要量の半分は自家採種の種。半分はJAから購入するDNA的に純血の種を使い、その種から出来た籾を来年の種に使います。
籾種は見た目にはみんな同じなのですが1本の穂の中でみんな同じに充実しているわけでは有りません。充実した種もみが豊作の第一条件です。生卵を入れてそれが水面に浮かぶまで濃度を濃くした塩水に種もみを投入すると比重の軽い充実していない種もみは浮かび上がります。それを取り除いて充実した種もみだけを選抜します。その後、慣行栽培では農薬の液に数日浸して種子消毒を行い、種もみの中に潜んでいる害虫や病原菌を殺すのですが、有機栽培では温度57℃の温水に10分間浸し、それらを退治します。化学農薬が発明される前から日本に伝わる「温湯消毒法」と言う農業技術です。専用の機械もありますが、年に1回だけの作業なので我が家ではドラム缶のふたの部分を切り開き、ガスコンロで焚いてお湯を沸かして作業しています。プロパンガス代は掛かりますが農薬代はいらない、浸した農薬の廃液もない、経済的環境配慮型です。
稲と言う植物は種を放っておくと何もしないでも育ち、穂を付ける逞しい植物です。しかし収量、美味しさ、追及していくと限りがありません。また、その収入で家族を養い、顧客の皆様に対してはクレームの無いように、また欠品のないようにしなければなりません。令和の米騒動の中で米を探して弊社にも沢山のお問い合わせがあります。しかし今でも弊社が有機米の生産を継続できているのは今まで米の値段が安かった時にも買い支えて頂いた皆様があったからこそです。定期便のお客様の分は優先的に確保致しておりますし、価格も一般米では現在高騰しているようですが昨年秋にお約束した価格でお送りします。