農園だよりDiary

2025年6

2025.06.11
 皆さん今日は。

 先月13日、14日。2日を掛けて5haの我が家の田植えが無事終わりました。一昨年まで合鴨除草を35年続けてきましたが網張やカモの世話がとても大変で機械での除草に変えました。田植え機は6列植えます。乗用除草機も田植え機が植えた通りに進んで行くのですが、田植え機をまっすぐに進ませるのは難しく、6列は同じ幅ですが折り返しの隣の列の幅は広かったり狭かったりします。広いと除草しないところが出来るし、狭いと隣の列の苗を土に埋め込んでしまいます。そこで今年からGPS自動運転の田植え機を購入し、生産者3人で共同利用を始めました。機械が勝手に直進するので速度も速いく作業時間の短縮です。また今年から同級生2人が農作業の忙しい時に応援に来てくれることになり、種まきや田植えの手伝いをしてくれるので大助かりです。

 あれからひと月、苗は順調に育ち先月末に除草機で1回目の除草をしました。田植えから2週間、活着したとはいえまだまだヒョロヒョロの状態です。機械の速度は控えめ、作業もゆっくりと、ちょっとハンドル操作を間違えて列をそれるとたちまち6列の苗が飲み込まれて無くなってしまいます。集中が肝心です。しかし自動運転の成果で、昨年までは幅が狭いところは機械から降りて調節して隣の列を守っていたのですが今年はどの列も同じ幅で作業もスムーズに出来ました。2度目は田植えからひと月後の13日頃から計画しています。ひと月経つと株はしっかりと、そしてちょっと大きくなってきます。作業は深く、強く、高速で。田んぼの色んな雑草、株と株の間の草もことごとく土の中に埋め込んでいきます。有機栽培農家にとって画期的な機械です。しかし雑草の「稗」もしたたかです。稲株の中や接近した所では生き残っています。稲と稗は穂が出るまでは殆ど同じ姿です。これからは全ての田んぼの全ての列を歩いて見つけて取らなければなりません。稲刈りまで続く草との戦いです。

 田植えは済みましたが収穫まではあと3か月。今年の作柄が豊作なのか凶作なのか分からないのに、米の価格が高すぎるだの、輸入だ、国産だのと「にわか農政通」も加わり「百家争鳴」のこの頃です。米の話題がこれほど世間を賑わせたのは平成5年の「平成のコメ騒動」以来のことです。フィリピンのピナツボ火山の噴火により巻き上げられた噴出物が成層圏に達し世界的な気候変動、日本では冷夏による記録的凶作でコメ不足が起こりました。当時に比べるとそれ程の不足ではないし、そもそも日本人の米依存度は7割から3割に減少していてパンより少なく麺と同じくらいなのです。パンや麺があるのにこれまで食べてこなかった人まで米を語っているようです。無くなってから分かるもの。親は居る時にはうるさい。空気はタダで、あるのが当たり前。無くなってから分かるものです。米も有るときにはいつでも買えるから。炊くのが面倒だ。いろんな事情があるのでしょう。しかし無くなると心細いものです。テレビでは連日米不足、高騰の情報が流され、スーパーの空の売り場の映像。それに煽動される人々。そんな世の中の雰囲気ですが米についてこれほど語られることは良いことです。

 本当はこれからの近未来が正念場です。私の周りもまた全国の農村も米農家がこの数年でいなくなります。30年続いた米安値で若者はいません。70代農家が国民年金だけでは生活が苦しいので米作りをしていますが、あと何年続けられるでしょうか。これまで使い続けた農業機械は古くなり、修理も効かくなって買い替える資金もない。体力、気力もない。それが米作りの現場です。有るときに手を打たないと無くなってからではもう遅いです。弊社でも高齢になった生産者3人で運営をしていますが供給に滞りがないようにしなければなりません。機械で補えることはどうにかなりますが補えない部分をどうするのか。大きな課題です。

 令和のコメ騒動も秋の収穫が平年作であれば収束します。弊社では定期便のお客様の米は確実に確保致しております。ご安心ください。
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