農園だよりDiary

2026年6

2026.06.10
 皆さんこんにちは。

 我が家の米作りイベント、田植えを5月14日から17日にかけて無事に済ますことが出来ました。

 子供の頃を思い返すと田植えは大変な重労働だったようです。苗は水を張った田んぼの中に作られた、1mほどの幅の何列もある苗床の土に20cmほどに育っていました。父は水の中にかがみ、苗を両手それぞれで抜き取り、両の手の平が一杯になるとそれを合わせて、1本1本がほぐれて植えやすいように水で根をざばざばと洗い、その苗の束を3本くらいの藁で結ぶ「苗取り」を前日から行い、翌日近所の人が田植えの手伝いに来て植える苗の準備をしていました。当日は朝早くから植える列が分かるように「田植え綱」を張り、皆が植える苗を籠に入れ天秤棒で担いであぜ道から適当な間隔に田んぼの中に投げ入れる「苗配り」をしながらまた苗取り。植える人は1日中腰を曲げてひたすら片手に持った苗の束を親指と人差し指、中指で苗を4,5本ずつ繰り出し、もう片手で取って田植え綱に沿って植え付ける作業です。水を張った田んぼの中に一日中腰をかがめての作業は大変だったことでしょう。早朝から始めて、お昼は皆であぜ道に座りおにぎりに漬物。休む間もなくまた田植。「結」という仕組みがあり、我が家の田植えが済んだら手伝って頂いた方の田植えのお返し。集落の田植えが済むまで何日もの田植えだったようです。振り返ると、ようやく「戦後」が終わったと言われても、まだまだ食料は足りなくて「貧乏人は麦を食え」、米が貴重品の時代でした。戦後、農地解放が行われ、全国の農家が1~2haの田んぼを牛や馬で耕し、田植え、草取り、稲刈り、脱穀を手作業でやっていたのです。

 あれから60年。農業では生計が経たなくなり廃業する農家が沢山います。その農地は若手農家が引き継いでいますが、それには限度があります。田植えは60㎝×30㎝の箱に種を蒔いて農業ハウスで育てた苗を田植え機で1日に2ha植えます。慣行栽培農家は田植えの後、除草剤を撒きます。最近、大規模農家では苗作りの手間を省く為に田んぼに直接種を撒く農家もありますが、稲の苗が生命力の強い雑草に負けるので強力な除草剤は欠かせません。我が家では6ha田植えしました。数年前までは合鴨を田んぼに放しての除草だったのですが、田んぼの周りに網を張り、合鴨を放して世話をし、田んぼから上げたら網の片づけと、とても大変なので写真のように除草機で草取りを行っています。田植え後2週間、まだまだ苗は根づいたばかりなので回転はゆっくりしないと苗が機械に飲み込まれてしまうのですが、雑草も発芽したばかりなので低速回転でも倒されていきます。そしてその2週間後、2回目の作業をします。そのころには苗もしっかりしてくるので高速回転で雑草をバキバキ倒していきたいのですが、人の目で確認して作業するわけではないので取り残しも沢山あります。合鴨除草の時も合鴨は居るのに歩行式除草機で毎日草取りをして、その後はひと夏、稲刈りまで人の手による草取りでした。今は網張と片付け、合鴨の世話がないだけで、人手による草取りは相変わらずです。

 この60年で世の中は夢のような変わりようです。農業界でも昔は素足で田んぼに入り、素手で仕事をしていたのが今は田んぼ専用の長靴を履き、手袋をして作業します。若い人は機械から降りないで運動靴で通す人もいます。田んぼの中に入っての「田の草取り」などはもう死語です。雑草が生えないように強力な除草剤を何度も撒き、それでも生えたら仕方ない。そんなわけで以前は有機栽培の田んぼは雑草が生えるのが当たり前だったのが、今は有機の田んぼは綺麗。慣行栽培は雑草があるのが普通になりました。60年前、除草剤が無くて草取りが大変で大きな面積が作付け出来ませんでした。これからの時代は除草剤があるのに、夏の炎天火、背中を太陽に焼かれながら腰を曲げて草取りをする人はいなくなることでしょう。有機米の将来は明るいとは言えません。しかし手を尽くすのが有機栽培なので弊社は続けていきます。
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